「脱原発政治家に聞く」オンラインセミナー第1回報告

原発事故から15年、日本が目指すべきエネルギー社会とは
山崎誠さん(前衆議院議員)

4月19日、こらっせは、原発事故から15年経過した現在、被災者支援には政治の力が不可欠と考え、新企画「脱原発政治家に聞く」オンラインセミナーをスタートさせました。第1回の講師には前衆議院議員の山崎誠さんをお迎えし、「日本が目指すべきエネルギー社会」をテーマに語っていただきました。

原発事故被災者支援の現状と課題

講演の前半では、山崎さんが中心となって実施した原発事故被災者支援団体へのアンケート結果(回答74件)の報告がありました。それによると、支援団体の9割以上が活動を継続する一方、96%が「記憶の風化」を実感している、社会の関心低下は資金不足や行政の非協力を招き、支援者の高齢化や疲弊による活動縮小の危機を引き起こしている。被災者は依然として健康不安や精神的孤立、生活再建の遅れといった深刻な課題を抱え続けているなどの事実が明らかになりました。

それをふまえて山崎さんは、個人のボランティアに依存する現状から脱却し、子ども被災者支援法の実効化や基盤支援を伴う持続可能な支援システムへの転換が急務であると訴えました。

原発政策の嘘とごまかし

次に山崎さんは、政府の原発回帰方針に対し、原発はコスト面でも安全面でも限界に達しているとして、次の3点を指摘しました。
第一に、耐震基準の軽視とデータ検証能力の欠如です。大飯原発の設計基準(856ガル)が能登半島地震(2828ガル)のような現実の揺れからかけ離れているなど、想定が極めて非現実的であること、さらに中部電力の基準地震動データの捏造が発覚しており、原子力規制委員会には提出データを独自検証する能力も姿勢もないことがあげられました。

第二に、安全保障上のリスクです。ザポリージャ原発の事例が示す通り、原発への武力攻撃は過酷事故に直結します。しかし政府はミサイル防衛で防ぐという精神論に終始し、国会答弁で「核兵器がある以上、原発がなくてもリスクは同じ」という暴論を述べるなど、国民の命より経済とエネルギー供給を優先していると語りました。

第三に、核燃料サイクルの破綻とコストの問題です。六ヶ所村の再処理工場は建設着工から32年、総事業費17.5兆円を費やしながら未稼働のまま、原発の発電コストも建設費高騰のため再エネの3~4倍に達します。また、政府はAIデータセンター普及による電力需要の爆発的増加をあげますが、これは誇張であり、実際の増加分は5〜6%程度で、省エネで十分吸収可能と批判しました。

再生可能エネルギー100%社会の実現

日本の再エネ比率は現在約25%で、50%を超える欧州諸国から大きく遅れています。政府は2040年でも再エネ50%、化石燃料・原発50%という計画ですが、山崎さんは徹底した省エネと再エネの普及により、2050年に「再エネ100%」の実現は可能だと主張しました。現在、太陽光や風力、蓄電池のコストは急速に低下しており、技術的にも化石燃料に代替できる水準にあるとして、具体的な普及策として3点をあげました。

  1. 浮体式洋上風力発電:遠浅の海が少ない日本でも設置可能で環境負荷も低い。
  2. クローズドループ方式地熱発電:地下深くにパイプをループ状に埋め込み水を循環させる技術で、温泉枯渇の懸念なく地熱を利用できる。
  3. ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電):全農地の約10%を占める耕作放棄地を活用する。これを進めるだけで国内電力消費量の2〜3割を賄えるポテンシャルがある。

質疑応答に入り、蓄電池の価格や夜間の電力不足について、山崎さんは、蓄電池の低価格化が急速に進み、太陽光と蓄電池の組み合わせが石炭火力より安価になっているため、夜間対応も含め実用化は十分可能だと回答しました。海外のAIデータセンターの需要増についても、投資マネー目当ての過大な申請が問題視され、実態は見積もりを大きく下回るとの参加者からの指摘に同意されました。
再エネ事業者が直面する「出力制御(送電網の都合で再エネ電力が捨てられる問題)」や市場価格の歪みについて、山崎さんは、発送電分離が不十分で大手電力会社に有利な仕組みが温存されていることが原因であり、優先接続ルールや市場メカニズムの抜本的見直しが必要だと強調しました。

ソーラーシェアリングと農業との関係については、あくまで農家の収入確保と農業再生を主目的とした導入が不可欠であり、垂直型パネルの活用など営農に配慮した技術の普及が重要だと述べられました。