「希望の若芽プロジェクト」報告

3.11から10年目の追悼イベントに何かできないかと考え、三陸の採れたてワカメを「こらっせ」のネットワークで販売し、子ども食堂に配る「希望の若芽プロジェクト」を行った。

 

3.11の直後、津波や原発事故の被災者のために多くの人々は何かしたいと考えたが、私たちもできることを探し出して働いた。その一つが横浜から気仙沼市にボラバスを出していた友人に頼まれたワカメの販売だ。気仙沼の岩井崎漁港も津波に襲われたが、高台に貯蔵していたため無事だった3月10日に採ったワカメを、後に「こらっせ」を立ち上げる仲間とともに販売し、大量のワカメはわずか数日で売り切れた。

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津波の被害を受けた、岩井先地区( 宮城県気仙沼市の中心部から10km南の場所)


昨年、元「こらっせユース」で、現在は被災地のために働こうと岩手県に移住している石渡博之さんが、岩崎漁港から10数kmの陸前高田市広田漁港でワカメ漁師になっていることを偶然知った。石渡さんの採ったワカメを「希望の若芽」として販売し、その利ザヤで購入できるワカメを福島・神奈川の「子ども食堂」に届け、追悼イベントにしよう。こうして「希望の若芽プロジェクト」がスタートした。

帽子をかぶってサングラスをかけた男性

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元「こらっせユース」で、現在は被災地のために働こうと岩手県に移住している石渡博之さん


ワカメの販売・配布先は、コロナ禍もあり冷蔵保存という制約もあったので、数量を限定し無理なく手渡せる範囲で実施しようと決めた。1袋300gのワカメ160袋を販売し、得た利益などで購入したワカメを子ども食堂に3袋ずつ90袋、合計250袋を注文、販売、配布する計画をたてた。美味しいと評判で短期間で売り切れた。子ども食堂への配布先は、横浜を中心に福島・横須賀・藤沢・相模原の30カ所。福島の2施設を除いてスタッフが直接届けた。

文字の書かれた紙

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子ども食堂等にもお渡しした、1袋300gのワカメ
トレイの上に置いている様々な料理

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子ども食堂「コドイチ」 さんへ、わかめをお渡しした時の様子


ワカメの販売・配布を通じて、今までお付き合いのなかった方たちへとネットワークが広がった。「子ども食堂」へのコンタクトについては、パルシステム神奈川・生き活き市民基金などお世話になっている組織、横浜の社会福祉協議会からフードバンクや子ども食堂を紹介していただいた。現場を訪問すると、子ども食堂といっても様々な形があり自分たちにあった方式で運営していて、コロナ禍の現在は感染を回避するために、お弁当やパンドリー(食料配布)などに取り組んでいることを実感できた。

お渡ししたワカメは、わかめご飯にして頂きました


実は「希望の若芽プロジェクト」には、現在企画中の「山北プロジェクト」と関連するもう一つの目的がある。「山北プロジェクト」は、福島だけではなく神奈川の子どもたちも、自然豊かな山北で大学生と遊び・学んでもらおうという内容だ。子ども食堂など地域の居場所で集う子どもたちを対象に考えている。「希望の若芽プロジェクト」はその第一歩だ。